第三十九巻 夕霧(ゆうぎり)

あらすじ

 柏木亡きあと、夕霧は落葉の宮を訪ね親身に世話をしながら、いつしか恋情を訴えるようになっていった。物の怪にわずらわされ、病床にあった落葉の宮の母は日に日に悪くなる一方で、落葉の宮は見舞いに来る夕霧の相手を自らする他なくなっていた。
 ある夜、夕霧が御簾の内へ入り込んできた。落葉の宮はあわてて障子の外へと逃れたが袖を捉えられてしまう。障子の内と外での押し問答の末、結局はうちとけぬままに明け方を迎えた。夕霧が朝方に帰っていったことを耳にした宮の母は驚き、夕霧に真意を問う文を書く。しかしそれは夕霧が読もうとした瞬間に雲居雁にとりあげられてしまった。届かない返事を待ちながら、母は悲嘆の果てに息絶える。その後も落葉の宮は夕霧をかたくなに拒絶し、雲居雁も実家に帰ってしまった。実直な夕霧の初めての懸想は、女君たちに翻弄されどおしなのであった。
 木村朗子(田口榮一監修『すぐわかる源氏物語の絵画』東京美術より)

 

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