あらすじ
出家した朱雀院は、俗世に悩まされぬようにつとめているが、女二の宮(落葉の宮)が夫柏木を亡くし、女三の宮も出家の身となった今、ままならない宿世を嘆かずにはいられない。
女三の宮の産んだ男御子(薫)は、笑顔の愛くるしい子に成長した。源氏はこの子を授かる宿運のためにあのような密事があったのだと思いなおそうとするが、やはり女三の宮の罪を許すことができずにいた。
秋の夕べ、夕霧は落葉の官邸を訪ねた。柏木愛用の和琴を引き寄せると女の香りがする。夫亡きあと落葉の宮が弾きこなしてきたのだろう。夕霧が琵琶を取り想夫恋を弾いてみせると、落葉の宮は終わりのほうを弾いてそっと応じ、二人はつかの間の交流を得た。男の楽器はもはや無用だというので落葉の宮の母御息所は夕霧に柏木遺愛の横笛を贈った。だが柏木はそれを薫に伝えて欲しいと願っていたのだった。
木村朗子(田口榮一監修『すぐわかる源氏物語の絵画』東京美術より)
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