第四十九巻 宿木(やどりぎ)

あらすじ

 薫は藤壺女御の娘、女二の宮との縁組を決めた。匂宮も夕霧にせっつかれ、ようやく六の君との婚儀をすませた。独り寝の夜が増えるにつれ、中の君は宇治を出てきてしまったことを後悔し、姉が薫を拒絶したことの意味をいまになって知るのだった。中の君は懐妊したが、匂宮の喜びをよそに宇治へ戻りたいと願っていた。
 薫は女二の宮との結婚を決めた後も、亡き大君の幻影を追っていた。中の君も幸せではないらしい。いっそ、中の君と結ばれていればよかった。悔恨の情にかられた薫は匂宮の留守に中の君を訪ねる。思わず抱き寄せたが、匂宮の子を宿した印の腹帯に触れ、気持ちをしずめるのだった。しかし匂宮するどく薫の移り香をかぎとって中の君をせめた。薫の懸想をわずらわしく思う中の君は、大君が忘れられないというのならと、大君にそっくりの異母妹がいることを明かす。久方ぶりに宇治を訪ねたその日、薫は偶然に浮舟と行き遭うのだった。
 木村朗子(田口榮一監修『すぐわかる源氏物語の絵画』東京美術より)

 

源氏絵場面一覧