あらすじ
明石の姫君の愛らしさは格別で、紫の上の明石の君に対する恨みも癒えた。
亡き葵の上の父君、太政大臣が亡くなって間もなく、藤壺も重く患い、やがてあっけなく崩御となった。藤壺の死に立ち会った夜居の僧都は、冷泉帝に藤壺の秘めた懊悩をうち明ける。それは「源氏こそわが実父」という驚愕の事実であった。
帝は密かに先例を調べる。唐土にはそうした例も多いが、日本には見当たらない。しかし例え例があったとしてもこのように秘されたことをどうして伝え知ることができようか。源氏の者を親王に戻し帝位につけた先例もあるからと、冷泉帝は源氏に帝位を譲ろうと考えた。源氏は秘事が知れたことに戸惑い、これを固辞する。
冷泉帝に入内した斎宮の女御が二条の邸に戻った。源氏は恋情をほのめかすが、さすがにかつてのような無体なまねはしないのであった。
木村朗子(田口榮一監修『すぐわかる源氏物語の絵画』東京美術より)
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