第五十一巻 浮舟(うきふね)

あらすじ

 中の君の若君へ、宇治の浮舟から贈り物が届いた。居合わせた匂宮は、前に見かけて心動かされた女からの物だと思い当たる。匂宮は、薫の通う女が浮舟だとつきとめると、宇治へ赴き、薫のふりをして寝所に入り込み契ってしまう。はじめは驚いたものの、浮舟は匂宮の女慣れしたやさしさに惹かれていく。薫は雑事にまぎれてなかなか宇治へ行くことができない。まさか遠い道のりを匂宮が行くとは思いもよらず、すっかり安心しきって訪れは途絶えがちであった。浮舟を京に迎えるべく整えていた邸がまもなく完成すると聞いて、母も乳母も喜んで上京の準備を進めている。浮舟は、薫の邸へ入ればもう匂宮には会えなくなるのだと、心が揺れる。ままならぬ恋路にも一途な匂宮は、宇治へ向かい、きっと薫よりも先に迎えにくると浮船に約束した。やがて匂宮との関係が薫に知られると、浮舟は深く悩み、「自分が死んでしまうほかないのだ」と思い詰める。
 木村朗子(田口榮一監修『すぐわかる源氏物語の絵画』東京美術より)

 

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