あらすじ
源氏は歳を経ても、はかなく逝った夕顔のことが忘れられず、六条院に集めた女君たちをみるにつけ「生きていたら」と残念に思う。
その夕顔の遺児、玉鬘(父は頭中将)は乳母の夫の赴任に伴い、筑紫で暮らしていた。乳母は夕顔の死を知らず、母君とめぐりあうことをひとえに念じて、いつか京に戻る日のために、玉鬘を田舎びさせないように育てていた。
美しく成長した玉鬘は二十歳となり、うわさを耳にして求婚してくる者たちが何人もいたが、乳母は「不具なところがございまして」といつわり、断り続けていた。
それでも肥後国の豪族の大夫監だけは、あきらめずにしつこく言い寄ってくる。大切な女君を守ろうとしてあわてて京へ逃れた一行は、長谷寺に参詣した。そこでちょうど初瀬詣でにきていた、昔夕顔の侍女で今は源氏に仕える女房、右近に偶然の再会をし、玉鬘は六条院へ引き取られることになるのだった。
木村朗子(田口榮一監修『すぐわかる源氏物語の絵画』東京美術より)
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