あらすじ
朱雀院への行幸が準備された。源氏が舞を舞うので、藤壺にぜひともみせてやりたいと思った桐壺帝は宮中での試楽を催す。源氏は頭中将と組んで青海波を舞った。この世のものと思えない神々しいほどの姿で、藤壺も源氏の子を身ごもってるのでなければ心から賛辞をおくれたはずだった。だが今は帝の好意もただ心苦しいばかりであった。
やがて藤壺は男児を出産した。桐壺帝の「小さい頃のお前に似ている」という言葉が源氏の胸をさす。
源氏が桐壺帝ゆかりの女性と関係するのは藤壺だけではなかった。かつて帝の召人であった才知あふれる女房、源典侍に源氏は興味をそそられる。頭中将も源氏にはりあったので、六十近いこの老女房は思いがけず二十歳の青年二人と春をとり戻したのだった。
七月、藤壺は弘徽殿女御をさしおいて后の位についた。
木村朗子(田口榮一監修『すぐわかる源氏物語の絵画』東京美術より)
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