第三十一巻 真木柱(まきばしら)

あらすじ

 入内目前の玉鬘の閨に忍び込み、鬚黒大将が想いを遂げてしまった。源氏はこの結果を不本意と思うが、立派に婿取りの儀式をとり行なう。帝は残念に思いながら、なおも尚侍としての出仕をすすめた。夫を持つ身での内裏出仕は例あることだが、鬚黒大将は気が気でない。形だけの出仕で自邸に引き取ってしまおうと考えている。鬚黒の邸では北の方が取り乱していた。面目をつぶされた父式部興宮は北の方を実家に連れ戻した。やっかいに思っていたところだったので、鬚黒はこれ幸いと玉鬘のために邸を整えるのに余念がない。玉鬘は思いがけない結婚に気持ちがふさがるばかりで、あれほどうとましかった源氏がどんなに優美であったかを、今になって思い知るのでだった。源氏は玉鬘のいた部屋に何度も足を向け、叶わなかった想いに嘆息しきりである。玉鬘へ情のこもった文を送ると、源氏の心を怪しんだ鬚黒が返事を書き送ってきた。やがて玉鬘は男児を出産し母となった。
 木村朗子(田口榮一監修『すぐわかる源氏物語の絵画』東京美術より)

 

源氏絵場面一覧