あらすじ
宇治では浮舟が失踪したというので上を下への大騒ぎである。書き置きは入水を暗示していた。薫がどこかへ隠してしまうのではないかと気が気でない匂宮は文を送るが、浮舟が昨夜亡くなったので受け取れないといわれる。薫は石山寺に参籠中であった。亡骸がないとわかればきっと匂宮を疑うであろう。侍女たちは浮舟の身の潔白を証立てるために、浮舟の来ていた衣などを燃やしてあわてて葬儀をすませた。匂宮はひどく気落ちして邸に籠りきりでいるらしい。やはり二人は通じていたのだと薫はいまさらながらに思い知らされる。
夏の暑い日、薫は女一の宮(妻の二の宮の異母姉)が氷で遊ぶ姿を垣間見する。あまりの美しさに驚き、わが妻に同じ衣を着せ、氷を持たせてみるが、まるで似ていない。薫は、できることなら女一の宮と結ばれたかったと思いながら、口実を作っては少しでも女一の宮と交わる機会をもとうとするのだった。
木村朗子(田口榮一監修『すぐわかる源氏物語の絵画』東京美術より)
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