第五十巻 東屋(あずまや)

あらすじ

 浮舟の母は、子だくさんの常陸介と結婚していたが、八の宮との間にできた実の娘(浮舟)ばかり目をかけるというので、よく思われていなかった。夫に相談もなく左近少将との縁組を決めようとしていたが、常陸介の後見をあてにした少将は継娘では困ると言い出し、常陸介の実の娘の方と結婚してしまった。身の置き所のなくなった浮舟を、母は異母姉の中の君に預けた。中の君の居所に上がった浮舟は、匂宮に姿を見られてしまう。一目惚れした匂宮は浮舟をかき抱いて寄り臥すが、かたくなな乳母がそばにはりついて一歩も譲らず、浮舟を護りとおした。この一件をきいた母は、あわてて浮舟を三条の隠れ家に移した。薫は宇治へ趣き、弁の尼に浮舟との仲介を依頼し、隠れ家で浮舟に対面した。驚くほど大君に似ているを浮舟を前にして、やはり大君とあれこれくらべずにはいられない。すぐに自邸に連れていくのははばかられ、薫は浮舟を車に乗せて宇治へと誘った。
 木村朗子(田口榮一監修『すぐわかる源氏物語の絵画』東京美術より)

 

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