あらすじ

　横川の僧都は、女一の宮の病気平癒のために都に呼ばれていった。僧都は世間話のついでに宇治でみつけた女君について語った。宇治で亡くなったという人ではないかと思い当たった明石の中宮は、匂宮が聞きつける前にそっと薫に知らせるのだった。
　薫は僧都に事情をきくため、自ら山にのぼった。はたして浮舟は生きていた。これほどの貴人の想い人を勝手に出家させてしまったことを悔いた僧都は、一切を薫に打ち明け、浮舟には薫のもとへ帰るよう文を書く。薫はすぐにも会って確かめたいという気持ちをおさえ、浮舟の異母弟の小君を遣わして文を届けた。もう昔の誰にも会いたくない。ただ母にだけはもう一度会いたい。浮舟は薫の文には、人違いだといって返事もしなかった。
　薫は小君が手ぶらで帰参したことから、浮舟の心をはかりかね、「きっとどこかの男があの人を隠しているにちがいない」と疑うのだった。
　木村朗子（田口榮一監修『すぐわかる源氏物語の絵画』東京美術より）

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