第三十四巻 若菜上(わかな じょう)

あらすじ

 朱雀院は体調思わしくなく、出家を願うが、ただ一つ幼い娘、女三の宮のことだけが気がかりだった。降嫁のうわさを聞きつけた若人たちは色めき立つが、結局朱雀院は源氏に託すことを決意する。源氏のほうでも准太上天皇として権勢をほこりながら、皇統の妻のないことを物足りなく思っていたところであった。皇女三の宮は誰よりも厚遇されるにちがいなく、これまで源氏の愛情を一身に受けていた紫の上は、己が宿運のつたなさを憂えていた。東宮に入内した明石の女御が男御子を産んだ。明石の入道は娘明石の君のもとへ長い手紙を送り、その命運はすべて夢告に示されていたことを明かし、のちの願ほどきを依頼して俗世を絶って山へ入った。
 女三の宮はまだ幼く、紫の上の魅力には到底およばないことが日増しに明らかになる。六条院の蹴鞠の日、その幼きゆえの無防備から、女三の宮は柏木に姿を見られてしまった。
 木村朗子(田口榮一監修『すぐわかる源氏物語の絵画』東京美術より)

 

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