第十六巻 関屋(せきや)

あらすじ

 かの空蝉は、桐壺院崩御の翌年、常陸介となった夫にともなって、東国に下っていった。源氏の須磨での不遇を耳にしてはいたものの、便りもできずに過ごしていたのだった。源氏帰京の翌年、任果てた常陸介一行は上洛途中の逢坂の関で、石山寺詣での源氏一行に行き合う。道をゆずって木陰にとめた常陸介の列に、目を引く女車が十台ほど並んでいる。出だし衣の色合いも田舎びたところがなく、まるで斎宮下向のように華やかである。源氏は昔のことを思い出し、空蝉に歌を贈った。空蝉も思いがけないことに忍ばれず返歌する。
 やがて、年老いた常陸介は亡くなってしまった。前々から空蝉に好意を頂いていた常陸介の息子は、世話を引き受ける振りをしながら、今こそ想いを遂げようとするのであった。このままでは継子と関係したという醜聞になりかねないと憂いた空蝉は、誰にも知らせずに出家し、尼になった。
 木村朗子(田口榮一監修『すぐわかる源氏物語の絵画』東京美術より)

 

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