第二十九巻 行幸(みゆき)

あらすじ

 大原野への行幸があって、物見車が大路を埋めた。玉鬘も見物にでかけ、蛍兵部興宮をはじめとする求婚者たちの姿をはじめて見たのだった。鬚黒大将は、色黒で鬚がちなところが気に入らない。わが父、内大臣は威勢があるとはいえ、なんといっても帝の盛りの美しさは別格である。源氏はいつまでも隠し通せることでもないので、正式に玉鬘のことを打ち明けようと、裳着(女子の成人式)の腰結役を頼むが、内大臣は母大宮の病気を理由に断ってきた。もし、大宮が亡くなれば玉鬘は孫として服喪すべきだが、このままでは知らん顔で過ごすことになってしまう。源氏は大宮の見舞いに出向き、内大臣への仲介を依頼する。
 事の仔細を聞かされた内大臣は、玉鬘がかの雨夜の品定めで語った夕顔の遺児と知って、感慨ひとしおである。参列した男たちの期待を一心に集めて、玉鬘の裳着は実父を腰結役に、盛大にとり行われた。
 木村朗子(田口榮一監修『すぐわかる源氏物語の絵画』東京美術より)

 

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