第二十四巻 胡蝶(こちょう)

あらすじ

 三月の花盛りのころ、六条院の春の御殿で派手やかな宴が催された。源氏は秋の御殿に里下がりしている中宮方の女房を船に乗せ、庭の池づたいにこれを見物させた。紫の上は桜と山吹を献上し、秋の盛りにわが所を誇って詠んだ秋好中宮の歌に、今こそ良き頃合いと返歌を贈った。
 この邸にも年頃の美しい娘がいると聞き知った客人たちは、その玉鬘の婿にと源氏にほのめかす。贈られてきた懸想文には源氏の弟の蛍兵部卿宮や鬚黒大将のものに混じって、異母姉とも知らずに熱を上げている内大臣の息子、柏木のものもある。
 源氏は夕顔の面影を残す玉鬘を手放すのが惜しくなり、自らの恋情を訴えはじめた。玉鬘の手をとり、上着をそっと脱ぎすべらせてかたわらに臥すありさまである。玉鬘は、本当の父親のもとにいたらこんな思いはすることもないだろうにと、わが身の不幸を嘆くのだった。
 木村朗子(田口榮一監修『すぐわかる源氏物語の絵画』東京美術より)

 

源氏絵場面一覧