あらすじ
光源氏誕生の巻である。桐壺帝後宮の幾多の女性たちのなかで、母桐壺更衣への寵愛ぶりは度を越えていた。嫉妬と羨望の中での源氏の誕生は、とりわけ第一皇子を産んだ弘徽殿女御の憎悪をかきたてた。つもる恨みに押しつぶされるかのようにして桐壺更衣は源氏三歳の年の夏、はかなくこの世を去る。その後の物語は源氏の成長記録さながら年齢を刻み足早に語られる。六歳で祖母と死別し、母方の後ろ楯を失って専ら内裏で暮らす。七歳で学問を始めると、ただならぬ聡明さを見るが、帝は来朝した高麗の相人に未来を占わせ、臣籍に降す決意をする。
桐壺更衣の死後、桐壺帝は食事ものどを通らぬほどに悲しみ、政務も怠りがちだったが、更衣によく似た藤壺を迎え入れると、ようやく宮中に明るさがもどる。人々はこの二人を並び称して「光る君」「輝く日の宮(藤壺)」と呼んだ。源氏は十二歳で元服し葵の上を妻とするが、心は亡き母の面影を宿す藤壺のもとにあった。
木村朗子(田口榮一監修『すぐわかる源氏物語の絵画』東京美術より)
源氏絵場面一覧
01 源氏との対面( )
源氏1歳/宮中/桐壺帝/玉のような皇子(源氏)と対面する。
02 源氏の袴着( )
源氏3歳/宮中/ /皇子(源氏)の袴着の儀が執りおこなわれる。
03 桐壺更衣の退出( )
源氏3歳/宮中/桐壺更衣/病のため、宮中から退出する。
04 桐壺更衣の訃報( )
源氏3歳/宮中/桐壺帝/桐壺更衣の訃報を聞き、嘆き悲しむ。
05 桐壺更衣の葬送( )
源氏3歳/愛宕/ /桐壺更衣の葬送の儀が執りおこなわれる。
06 靫負命婦訪問( )
源氏3歳/桐壺更衣の邸/桐壺帝/桐壺更衣の邸に靫負命婦を遣わす。
07 靫負命婦帰参( )
源氏3歳/宮中/靫負命婦/桐壺更衣の母からの文を桐壺帝に奉る。
08 桐壺帝の悲嘆( )
源氏3歳/宮中/桐壺帝/桐壺更衣を楊貴妃に準え、嘆き悲しむ。
09 源氏の読書始( )
源氏7歳/宮中/ /皇子(源氏)の読書始の儀が執りおこなわれる。
10 高麗の相見(源氏 高麗の相人 右大弁 鴻朧館)
源氏8~11歳/鴻臚館/高麗の相人/皇子(源氏)の相を見る。右大弁、同伴する。
11 藤壺との対面( )
源氏11歳/宮中/桐壺帝/藤壺女御に皇子(源氏)を引き合わせる。
12 源氏の元服(源氏 桐壺帝 左大臣 清涼殿)
源氏12歳/清涼殿東廂/ /源氏元服の儀が執りおこなわれる。左大臣、加冠の役を務める。
13 禄を賜わる( )
源氏12歳/清涼殿/左大臣/源氏の加冠の禄として、桐壺帝より物を賜わる。
14 葵の上との結婚( )
源氏12歳/左大臣邸/源氏/葵の上と結婚する。
15 二条院改築( )
源氏12歳/二条院/桐壺帝/桐壺更衣の邸を改築させる。