あらすじ
玉鬘は源氏の執心に困惑し、かつて大夫監に迫られて九州を逃げ出したことも思い合わされ、わが身の不運を嘆いていた。源氏のもとから逃れたい一心から、玉鬘はしだいに蛍兵部卿宮の懸想に興味を覚えるようになった。ある宵、源氏は兵部卿宮と対面する玉鬘のもとに、隠し持っていた蛍を放った。何も知らない兵部卿宮は、御簾のうちにほのかな光の揺らめくのを見てなんて風流なことかと魅了されるのであった。
いつになく長雨の続くころ、六条院の女君たちは絵や物語で退屈をしのいでいる。なかでも夢中になっているのが玉鬘だった。源氏は「どんな物語にも娘に冷たくされる親などいまい」と、自分になぞらえてあてこする。
内大臣は子だくさんだったが娘が少なく、夕顔を偲んでは、どうかして娘を探し出したいと思っている。ある日、内大臣は奇妙な夢をみた。夢合わせ(占い)の者は「長い間行方知れずだた子を、誰かが養女にしている」と告げた。
木村朗子(田口榮一監修『すぐわかる源氏物語の絵画』東京美術より
源氏絵場面一覧