第十七巻 絵合(えあわせ)

あらすじ

 源氏方から六条御息所の娘、前斎宮が冷泉帝に入内すると聞いて、権中納言(もとの頭中将)はすでに入内している娘(故徽殿女御)がどうなることかと気が気ではない。九歳年長の斎宮の女御より、同じ年頃の弘徽殿女御のほうを気安く思っていた冷泉帝も、斎宮の女御の絵がうまいのに次第に心惹かれていくようである。
 権中納言は絵が好きな帝の気を引こうとしてめずらしい絵物語を様々に描かせ用意した。源氏も厨子を開いて、古くから伝わる絵を選り分けて競うのだった。女房たちが口々に絵の批評をはじめたので、帝の御前で絵合わせを催すこととなった。弘徽殿方と斎宮の女御方とで意匠をこらした絵が次々と披露される。
 源氏が最後に用意していたのは、須磨で自ら描いた絵日記だった。絵のすばらしさはもとより、当時の辛い日々の記憶がよみがえって、涙しない人はいない。源治方の勝ちとなり、この絵日記は藤壺に贈られた。
 木村朗子(田口榮一監修『すぐわかる源氏物語の絵画』東京美術より)

 

源氏絵場面一覧