第十三巻 明石(あかし)

あらすじ

 雷鳴轟く暴風雨はやまず、落雷で邸の一部も燃えてしまった。難を逃れたその夜、ふとまどろんだ源氏の夢に、故桐壺院が姿を現わす。「不遇をかこつ源氏を見るに耐えず、海に入り渚に上がりやってきた、これから帝に奏上することがあるゆえ急ぎ京へ上る」とだけ言って去った。
 同じ頃、京の都でも雨が降り続く不穏な空模様が続いていた。朱雀帝の夢に桐壺院が現われ、源氏の処遇について仰せがあった。睨みつける故院と目を合わせたゆえか、帝は目を患う。
 その翌日、明石の入道は夢告を得て源氏を迎えにやってきた。奇縁をいぶかしみつつ明石へ移ると、邸には都のしかるべき人に嫁合わせたいと、入道が大切に育ててきた娘がいた。源氏は京に残してきた紫の上を気遣いながらも、次第に気品ある明石の君に惹かれていく。やがて女君は懐妊した。ちょうどその頃、京から赦免の知らせが届き、源氏は二年数ヶ月ぶりに都へ帰還することになった。
 木村朗子(田口榮一監修『すぐわかる源氏物語の絵画』東京美術より)

 

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