あらすじ
薫は中の君と匂宮の間をとりもち、自らは大君に想いを打ち明ける。大君は「みっともない浮名を流さぬように」という生前の父の訓戒を守って容易に心を許さず、かわりに妹の中の君を薫にすすめた。八の宮亡き今、誰か男君にでも頼らなければ暮らしが立ち行かないとやきもきしている女房に手引をさせ、薫は大君の寝所に忍び込むが、気配を感じた大君は中の君を残して逃げてしまった。薫は大君への一途な想いをつらぬき、何事もなく一夜が明けた。
身分の高い匂宮は宮中から抜け出すのも一苦労であるが、なんとか三日三晩、中の君のもとへ通い正式に婚儀を終えた。その後、母の明石の中宮に軽々しい外歩きをたしなめられ、なかなか宇治へ赴けずにいるころ、夕霧の六の君と匂宮の結婚の噂が流れた。やはり匂宮に頼ったのは失敗だったと、心を痛めた大君は病に倒れ、薫に看取られて死んでしまう。匂宮は母の許しを得て中の君を都に引き取ることにした。
木村朗子(田口榮一監修『すぐわかる源氏物語の絵画』東京美術より)
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