あらすじ

　空蝉との一夜を忘れられない源氏は、空蝉のまだ幼い弟、小君を手元にひきとって手引を頼むが不首尾に終わる。源氏は眠られぬままに小君と共寝し、その華奢な少年のからだつき、髪のあたりに空蝉を思う。
　一方、空蝉もまたその夜を忘れられずにいた。熱心な源氏の便りに返事をせずにいると、やがて便りは途絶えた。夫ある身にはこれでよかったと思う反面、寂しくもあり、心は揺れる。
　まもなく小君は、紀伊守が任国に下り女ばかりが留守居のときを好機とねらい、再び源氏を手引きする。暑い盛りの夕まぐれ、紀伊守邸では軒端荻（紀伊守の妹）と空蝉が差し向かいで碁を打っていた。小柄な空蝉は腫れぼったい目をして、どちらかといえば不器量。軒端荻は着物をだらしなく着くずし、胸をはだけていた。
　源氏は、こんなふうに無防備な姿の女を垣間見するのは、はじめてだった。夜更けたころ、源氏は空蝉の寝所へそっと忍び込む。
　木村朗子（田口榮一監修『すぐわかる源氏物語の絵画』東京美術より）

源氏絵場面一覧

01　空蝉と軒端荻（源氏　空蝉　軒端荻　小君　碁盤　二階棚）　
源氏17歳／紀伊守邸／源氏／小君の手引きで中川の邸に忍び、空蝉と軒端荻が碁を打つ姿を隙見する。
02　源氏の侵入（　）
源氏17歳／紀伊守邸／源氏／小君の手引きで空蝉と軒端荻とが共寝する部屋に忍び入る。
03　空蝉の脱出（　）
源氏17歳／紀伊守邸／空蝉／忍び入る源氏に気づき、部屋をすべり出る。
04　空蝉の衣（　）
源氏17歳／紀伊守邸／源氏／空蝉の脱ぎ捨てた薄い衣を取って、侘びしく部屋を出る。
05　小君を起こす（　）
源氏17歳／紀伊守邸／源氏／帰ろうとして、寝入っている小君を起こす。
06　老女見咎め（　）
源氏17歳／紀伊守邸／源氏／老女に見咎められそうになる。
07　空蝉の歌（　）
源氏17歳／紀伊守邸／空蝉／源氏の歌が書いてあった懐紙の端に歌を書きつける。