第二巻 帚木(ははきぎ)

あらすじ

 長雨続く季節の退屈なある夜、男四人が集まって女性談義に花を咲かせる。
 「上流の女が良いのはあたり前。下流の女は論外だ。中流の女にこそいろいろ吟味の種がある」と源氏相手に持論を説く頭中将。そこへ左馬頭と藤式部丞が加わり、興に乗って口々に中流の女との艶話を披露しはじめた。源氏はまどろむふりをして聞き役に徹しつつも次第に中流の女たちの話題にひきこまれていく。
 雨あがりの翌日、源氏は久しぶりに葵の上を訪れるが、上品にとりすましてうちとけてはくれない。退屈した源氏は方違えを良い口実に紀伊守邸に向かう。その晩空蝉との一夜の逢瀬を経験し、源氏はたちまち夢中になってしまう。空蝉は伊予介の妻であり、身分違いだと言ってかたくなに拒むが、源氏にとってはまさに格好の相手なのだった。源氏は空蝉の弟小君をそばに仕えさせ、再び逢瀬を画策する。
 美しい青年に成長した源氏初の恋愛譚である。
 木村朗子(田口榮一監修『すぐわかる源氏物語の絵画』東京美術より)

 

源氏絵場面一覧

01 文をしまい込む( )
源氏17歳/宮中の宿直所/源氏/頭中将に見せた文をしまい込む。 
02 宿直所参上( )
源氏17歳/宮中の宿直所/左馬頭と藤式部丞/源氏の宿直所に参上する。 
03 雨夜の品定め源氏 頭中将 左馬頭 藤式部丞 
源氏17歳/宮中の宿直所/左馬頭と藤式部丞/女性談義に加わる。
04 指喰いの女( )
源氏17歳/宮中の宿直所/左馬頭/体験談(嫉妬深い女)を語る。 
05 木枯らしの女( )
源氏17歳/宮中の宿直所/左馬頭/体験談(浮気な女)を語る。 
06 常夏の女( )
源氏17歳/宮中の宿直所/頭中将/体験談(内気な女)を語る。 
07 博士の娘( )
源氏17歳/宮中の宿直所/藤式部丞/体験談(博学な女)を語る。 
08 葵の上への不満( )
源氏17歳/左大臣邸/源氏/葵の上のとりすました態度を物足りなく思う。  
09 方違えを伝える( )
源氏17歳/左大臣邸/源氏/紀伊守を呼び、方違えに行くことを伝える。 
10 紀伊守邸訪問( )
源氏17歳/紀伊守邸/源氏/中川の紀伊守の邸に行く。 
11 空蝉を窺う( )
源氏17歳/紀伊守邸/源氏/空蝉の部屋のようすを窺う。従者たちは酔って仮寝。  
12 空蝉との逢瀬( )
源氏17歳/紀伊守邸/源氏/空蝉の寝所に忍び込む。 
13 空蝉を見送る( )
源氏17歳/紀伊守邸/源氏/空蝉と一夜を明かし、夜明けに空蝉を障子口まで送る。 
14 空蝉に文を送る( )
源氏17歳/左大臣邸/源氏/小君を使いに空蝉に文を送る。 
15 空蝉の拒否( )
源氏17歳/紀伊守邸/源氏/小君の手引きで空蝉に逢おうとするが、空蝉は奥深く隠れてしまう。