第五十三巻 手習(てならい)

あらすじ

 横川の僧都の母尼が初瀬詣での帰り道、病に倒れた。宇治のあたりで宿をとり、加持祈祷のため僧都を呼びにやった。駆けつけた僧都の一行は、宿の裏手で木の下にうずくまる白いものを見る。狐の变化ではないかと怪しむが、それは髪の美しい女人であった。とりついた物の怪を僧都に調伏してもらい、僧都の妹尼の看病によりようやく正気を取り戻した女は浮舟であった。浮舟は思い出していた、、、あの日、もう死ぬしかないと思って、人々が寝静まったあと外にでると、うるわしい男が近寄ってきて抱き上げられたことを。匂宮かと思っていたのだが、その人はそのまま自分を置いてどこかへいなくなってしまったのだった、、、。妹尼は亡くなった娘が戻ってきたような気になり、熱心に娘の世話をする。娘婿の中将が訪ねてきて、美しい浮舟に心惹かれると、妹尼は二人の結婚を願った。だが、浮舟は再び男君と関わることがうとましくて、僧都に懇願して出家を遂げてしまった。
 木村朗子(田口榮一監修『すぐわかる源氏物語の絵画』東京美術より)

 

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