あらすじ
中の君の上京のときが近づいた。女房たちは都での新しい暮らしに浮足立つが、薫に出生の秘密を語った老女房の弁は出家し、宇治の邸にとどまることになった。
大君をなくして失意にくれる薫は、匂宮の邸でしみじみと思い出を語る。匂宮は、薫と大君とに男女の交わりがなかったと聞いて驚く。そうした恋は匂宮の理解を超えているのだった。さすがの薫も、大君の計らいで中の君と一夜を語り明かした一件までは話さないが、あのとき中の君と結ばれていればと、悔やむ折もあるのだった。
中の君の上洛は立派なもので、並の女君ではないことが誰にも知れた。夕霧は、よりによってわが娘、六の君への婚礼前に匂宮が女君を迎え入れたというので気分がよくない。いまさらながら、実直な薫を婿にしたほうがよかったのではないかと思い、ひそかに打診するのだが、すげなく断られてしまった。
木村朗子(田口榮一監修『すぐわかる源氏物語の絵画』東京美術より)
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