第三十五巻 若菜下(わかな げ)

あらすじ

 垣間見た女三の宮の面影が忘れられずに、柏木は想いを打ち明ける機会をうかがっていた。
 冷泉帝が譲位し明石の女御の御子が東宮にたち、明石一族の宿願はついに成就した。源氏は煌々しい行列をしたて、紫の上を伴って住吉に願ほどきにでかけた。源氏は朱雀院の五十の賀を準備し、女三の宮の寵遇の証として、熱心に教えた琴を朱雀院に聞かせようと考えた。明け暮れ稽古に打ち込んだので、紫の上は一人寝の夜が多くなった。そんな紫の上の機嫌をとろうと、源氏は寝物語に夕霧の母、葵の上や六条御息所の思い出を語る。まもなく紫の上は病に倒れた。源氏が看病につききりの隙に、柏木は女三の宮の寝所に忍び、想いを遂げてしまう。紫の上が危篤に陥ったときき、源氏が験者に加持祈祷をさせると、物の怪が姿を現わした。「嫌な女であった」と話題にされたことが恨めしくて、、、。それは六条御息所の死霊であった。
 木村朗子(田口榮一監修『すぐわかる源氏物語の絵画』東京美術より)

 

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