あらすじ
源氏は二条の邸に東の院を造り、西の対に花散里を迎えた。東の対には多くの小部屋を用意して、大勢の女たちを住まわせるつもりである。
明石の君は再三、上京を促されていながら、片田舎で暮らしてきた者が都でどんな恥をかくだろうと、なかなか決心がつかない。大堰川のほとりに移り住み、時をみることとなった。それでも源氏は紫の上への気兼ねから、気ままに明石の君を訪ねることができずにいた。
久方ぶりの対面をはたしたときには、わが娘は美しく成長しており、このままいやしい出自にくちさせてしまうには惜しいほどであった。数日を大堰で過ごして戻ると、紫の上はすこぶる機嫌が悪い。そこで源氏は明石の姫君を養女に迎えようと紫の上にもちかける。紫の上は広い心で承知するが、明石の君が哀れでもあり、源氏は思い惑うのだった。
木村朗子(田口榮一監修『すぐわかる源氏物語の絵画』東京美術より)
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