あらすじ

　源氏が須磨に引きこもっていた頃、源氏の庇護を失って、末摘花は零落の一途をたどっていた。邸は荒れすさび、仕える者たちも次第に離れていったが、それでも末摘花は源氏が訪ねてくることを信じて疑わなかった。
受領の妻となって身分を落としていた末摘花の叔母は、末摘花の母に冷遇されたことを恨み、身分の高い末摘花を自分の娘の侍女にしてやろうと企むが失敗する。そこで夫の太宰赴任を機に末摘花を連れ出そうとするが拒否され、腹いせに親しく仕えている乳母子の侍従を連れていってしまう。
　やがて源氏が赦されて帰京したとの噂を聞くが忘れ去られたままに月日が過ぎた。翌年の四月のある日、午睡の夢に末摘花は亡くなった父宮を見る。懐かしい父の姿に心をふるいたたせ、邸をきれいに整えておくと、その晩、源氏が花散里を訪ねる道中に末摘花の邸を見出し、二人は久方ぶりの再会を遂げたのだった。
　木村朗子（田口榮一監修『すぐわかる源氏物語の絵画』東京美術より）

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