第十二巻 須磨(すま)

あらすじ

 朧月夜との関係が弘徽殿大后(弘徽殿女御)に知れ、帝の御妻を犯したとして源氏は謹慎の処分を受ける。世の人は弘徽殿大后を恐れて、源氏との交渉を絶つようになった。形勢はますます悪くなる一方で、源氏は自ら須磨へ引きこもることを決意する。
 親しい従者のみを連れての須磨での侘び住まいは、まるで異国にいるようで寂寞たるものであった。都では源氏の不在を悲しむ声もあったが、源氏と文を交わす幾人かをのぞいても、誰もが弘徽殿大后の目を気にして、素知らぬふりである。そんな折、頭中将がお忍びでやってきて、つかの間無聊をなぐさめた。
 一年が経ち、再び春を迎えた。御禊によき日だというので、海岸へ出て祓えをする。源氏が「八百万の神も、犯した罪もなき者をあわれと思うだろう」と歌にすると、静かに凪いでいた海は一変して荒れ狂い、雷鳴が轟いた。
 木村朗子(田口榮一監修『すぐわかる源氏物語の絵画』東京美術より)

 

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