第六巻 末摘花(すえつむはな)

あらすじ

 時が経っても源氏には、亡き夕顔の柔らかない情愛が愛しく思い出され、つんとすました上流の女たちとは違うかわいげのある女をどうかして見つけたいと懲りずに思い続けていた。そんな折、常陸宮の娘(末摘花)が父を亡くして心細げに暮らしているときいて興味をそそられる。
 月夜の晩、邸を訪れ琴の音をきく。一目姿を庭にまわると頭中将が中のようすをうかがっている。親友も熱心に言い寄っているとみて、源氏は想いを一層つよくする。しかしいざ会ってみると、末摘花はただ古めかしいだけの味気ない女性だった。だが源氏の肥大した妄想は萎むことなく、もう一度よく顔をみれば、、、と思う。再び訪れ一夜を過ごした翌朝、雪の光に見たのは真っ赤な鼻の頭の頭が象のようにたれた面長の青ざめた顔だった。世の中ままならぬと嘆じつつも、亡き常陸宮の魂に導かれたのかもしれないと、この女君を末永く見捨てずにいようと思うのだった。
 木村朗子(田口榮一監修『すぐわかる源氏物語の絵画』東京美術より)

 

源氏絵場面一覧