第五巻 若紫(わかむらさき)

あらすじ

 病のため北山に加持を受けに訪れた源氏は、夕霞にまぎれて小柴垣から垣間見をする。十歳ぐらいに見える愛らしく美しい少女からなぜか目が離せない。大人になったらどんなに美しかろうと想像してみて、ずっと想い焦がれている藤壺によく似ていると気づいた。それもそのはず、その子は藤壺の姪にあたるのだった。源氏はぜひ少女を引き取ってそばに置きたいと願う。
 京へ戻ると、藤壺が軽い病で宮中から里邸に下がっているという。源氏は藤壺お付きの女房を責めたてて、ようやく逢瀬を叶えた。ほどなく藤壺は源氏の子を懐妊し、逢うことはますます難しくなる。
 その頃、かの少女(紫の上)を育てていた尼がなくなった。父親が引き取るらしいと聞き、源氏は急いで二条院に連れ帰る。紫の上は一緒に遊んでくれる源氏によくなじみ、懐に抱かれて共寝するようになった。
 木村朗子(田口榮一監修『すぐわかる源氏物語の絵画』東京美術より)

 

源氏絵場面一覧

01 源氏北山へ( )
源氏18歳/北山/源氏/瘧病をわずらい、北山の聖を訪れる。
02 僧都の坊( )
源氏18歳/北山/源氏/僧都の坊に女人を見る。
03 源氏散策( )
源氏18歳/北山/源氏/加持祈祷の合間に、散策しながら景色を眺め、諸国の名勝や明石の入道の娘の話など、供人たちが語るのを聞く。
04 紫の上を垣間見源氏 紫の上 尼君 少納言 犬君 惟光   伏籠) 
源氏18歳/北山/源氏/僧都の坊で、逃げた雀を追って縁先に出た少女(紫の上)を垣間見る。
05 紫の上の素性( )
源氏18歳/北山/源氏/尼君の兄の僧都の坊を訪ね、少女の素性を聞く。
06 源氏物思い( )
源氏18歳/北山/源氏/物思いに沈み、眠れずに滝の音を聞く。
07 尼君拒否( )
源氏18歳/北山/源氏/尼君に少女を養育したいと打ち明けるが拒まれる。
08 山中での合奏( )
源氏18歳/北山/左大臣の子息ら/源氏を迎えに来る。僧都、源氏とともに桜散る山中で酒宴、合奏。
09 源氏消息( )
源氏18歳/左大臣邸/源氏/北山の人びとに消息を送る。
10 藤壺との逢瀬( )
源氏18歳/三条の里邸/源氏/宮中を退出した藤壺と逢う。
11 尼君を見舞う( )
源氏18歳/尼君の邸/源氏/帰京した尼君を見舞った源氏の声を聞きつけ、紫の上が尼君に会うようにと騒ぐのを女房らがたしなめる。
12 紫の上を訪問( )
源氏18歳/尼君の邸/源氏/尼君亡きあと、紫の上を訪ね、人見知りする少女を引き寄せ膝の上に休ませようとする。
13 女の家の門( )
源氏18歳/不明/源氏/帰途に忍んで通う女の家の門を叩かせる。
14 兵部卿宮の訪問( )
源氏18歳/尼君の邸/兵部卿宮/紫の上のもとを訪れる。
15 和琴を弾く( )
源氏18歳/左大臣邸/源氏/葵の上と不和。一人和琴を弾く。
16 紫の上を連れ出す( )
源氏18歳/尼君の邸/源氏/紫の上を連れ出す。
17 二条院の庭( )
源氏18歳/二条院/紫の上/二条院の庭を眺める。
18 紫の上と遊ぶ( )
源氏18歳/二条院/源氏/紫の上に手習いを教え、雛遊びをして過ごす。