このデータベースは、源氏絵研究の第一人者であり、2014年2月に急逝された東京芸術大学名誉教授田口榮一氏が過去に調査し、リバーサルフィルムで撮影した35㎜スライドをデジタルデータ化した画像をもとにした源氏絵データベースである。田口氏は生前、所蔵スライドのなかから全図のみをデジタルデータ化し、階層式画像整理用ソフトであるグランミュゼを用いて、源氏絵の巻別、場面別、絵師別、作品別のデータベースを作成していた。しかし、グランミュゼは、Mac OS9.22までしか対応しないため、汎用性のある階層式画像整理用ソフトApertureを用いたデータベースに作り替えていたが、Apertureは階層が浅いため、部分図の画像を加えることができず、部分図を加えた源氏絵データベースの完成は、氏の悲願であった。本データベースは、田口氏の遺志を継ぎ、氏の分類法を基にしながらも、個人のPC内ではなく、WordPressを用いてWeb上に構築するというまったく新しいかたちの源氏絵データベースである。本データベースは、オントロジー(階層構造とネットワーク)の概念を用いて源氏絵を体系化し、研究者間で画像を共有することによって、源氏絵研究のさらなる発展に寄与することを目的とする。
『源氏物語』各巻のあらすじは、木村朗子氏によるものである。田口榮一監修・稲本万里子・木村朗子・龍澤彩『すぐわかる源氏物語の絵画』(東京美術)より転載した。転載をお許しいただいた木村氏と版元の東京美術に感謝の意を捧げたい。
源氏絵場面一覧は、田口榮一氏作成の源氏絵帖別場面一覧(秋山虔・田口榮一監修『豪華〔源氏絵〕の世界 源氏物語』(学習研究社)を参考に、稲本万里子が増補改訂した。各場面は、場面のタグ、( )内に人物、建物、動植物、調度他のモチーフのタグ、場面オントロジー(いつ/どこで/誰が/何をした)の順で記載している。
画像データは非公開である。源氏絵データベース研究会のメンバーのみ閲覧できるものとする。